小津安二郎監督 『東京物語』 1953年 / Hulu
老夫婦が息子・娘夫婦の元に上京する小旅行を通して、
家族の関係性の喪失と人間の孤独について描いた作品。
舞台は1953年。戦後から10年も経っていない時代の話ゆえ、
家族の結びつきはもっと強いものかと思い込んでいたけれど、
『東京物語』で描かれた家族は、時に残酷なまでに他人行儀で、自己中心的。
あくまで自分の生活が中心であり、それが原則となっている。
だがそこに悪意はない。
その冷淡な描写は、それが家族なのだという意図が見え隠れしている。
この映画が撮られてから、60年が経った今、
高齢化、核家族や共働きが進み、家族の有り様は大きく変わり、
その関係性はより希薄になった。
親戚・家族・兄弟という共同体の意味はどこにあるのか、
ふと考えてしまう。
京子「でも,ずいぶん勝手よ。言いたいことだけ言ってさっさと帰ってしまうんですもの。」
(中略)
節子「だけどね京子さん,私もあなたくらいの時にはそう思っていたのよ。」
でも子どもって大きくなると,だんだん親から離れていくものじゃないかしら。
お姉様ぐらいになると,もうお父様やお母様とは別の
お姉様だけの生活ってものがあるのよ。
お姉様だって,決して悪気であんなことなさったんじゃないと思うの。
だれだってみんな,自分の生活が一番大事になってくるのよ」
京子「そうかしら・・・。でも私そんな風になりたくない。
それじゃ親子なんてずいぶんつまらない」
節子「そうねえ・・・。
節子「そうねえ・・・。
でもみんなそうなっていくんじゃないかしら。だんだんそうなるのよ」
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